医療サービスは重要な外貨獲得手段の一つのため、シンガポールの病院レベルは非常に高い

Tan Tock Seng Hospital

シンガポール政府は医療サービスを重要な外貨獲得手段として位置づけているため、同国の医療レベルは、東南アジアの中では非常に高く、国内だけでなく近隣諸国からも多くの患者が病気の治療や検査のために同国を訪れています。

医療レベルの高さは数字にも表れており、シンガポール国民の平均寿命は80歳、乳児の死亡率は0.3%と、日本同様に世界トップクラスです。この高い医療の質を支えているのが、1つの大学病院と7つずつある公的総合病院と市立総合病院です。

大学病院と公的総合病院は日本と同じ「クローズドシステム」を採用し、市立総合病院の多くは「オープンシステム」を採用しています。

クローズドシステムは、病院が医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師などの全てスタッフを雇用するシステムで、病院外部の医師が病院内で診療をすることはほとんどありません。これに対し、オープンシステムでは病院は医師を雇用せず、外部の医師が医療施設(外来ブース、入院ベッド、医療器具)、看護師などのコメディカルを病院から提供されて、病院内で診療するシステムです。

どちらのシステムも一長一短があります。オープンシステムでは患者が主治医を自由に選ぶことが出来ますが、ほかの病気を合併してほかの診療科への紹介が必要なときは、主治医の個人的な関係で紹介されることが多くなります。逆にクローズドシステムでは、主治医の選択権はありませんが、他の診療科との連携に関しては選択肢が多くなります。

シンガポールで最も歴史の長い病院が、1821年に設立されたSGH(Singapore General Hospital)で、約1400床のベッド数と5500人のスタッフ、年間手術件数76000件、そして附属する4つのナショナルセンターという最大の規模を誇ります。次に規模が大きいのがTTSH(Tan Tock Seng Hospital:写真参照)で、感染症やリハビリテーション医療のセンターとなっています。

シンガポールの唯一の大学病院がNUH(Singapore University Hospital)で、SGHとともに冠動脈疾患をはじめとする循環器疾患、脳血管障害などの高度救急医療の中心であるとともに医療教育を担っています。移植医療を含めて症例数も豊富なため、多くの日本人医師がNUHとSGHに心臓外科の手術を学ぶ目的で留学しています。またNICU24床を持ち、母子医療の中心となっているKKH(KK Women's and Children's Hospital)では、シンガポールの全出産の36%が行われています。

このように優れた機能を有している公立病院ですが、待ち時間などのサービス面では私立病院に若干劣るとされています。そのため在留日本人の多くは私立病院を利用しています。Gleneagles Hospital、Mt Elizabeth Hospital、Raffles Hospitalが有名で、日本人医師が複数常在している日系クリニックによるプライマリケアから高度な医療にも対応しています。

シンガポールは日本と違い自由診療制なので、病院やクリニックによって医療費に差があり、価格にも競争原理が働いています。政府は医療費の高騰を防ぐため、疾患ごとのガイドラインを公表しある程度の制限が働いています。手術費用には検査、麻酔、薬剤の費用が含まれて射ないので注意しましょう。退院時には主治医から診察料、手術代、麻酔科医から麻酔代、病院から部屋代、薬代、食事代などが別々に請求されます。