良質な医療提供体制の確保と国民の健康の保持を目的とした医療法

患者のニーズに合わせて改正が行われます

医療サービスを提供する医師や看護師、薬剤師、臨床検査技師などの方は勿論、患者さんも知っておきたいのが、医療施設と医療行政に対する基本法である「医療法」です。

良質かつ効率的な医療を提供する体制の確保、国民の健康の保持を目的として施行されたこの法律は、主に次の4つの事項を定めています。

@.医療機関を受診した患者の適切な選択を支援するために必要な事項、A.医療の安全を確保するために必要な事項、B.病院、診療所および助産所の解説および管理に関し必要な事項、C.施設の整備、医療提供施設間における機能分担および業務の連携推進に必要な事項…となっています。

人口の高齢化、日進月歩の医療技術、患者のニーズなどその時代に合わせて随時改正を重ねているのが、医療法の特徴です。1992年の第2次改正では、医療提供の理念を規定し、特定機能病院や長期量お湯音必要な患者などを入院させる療養型病床群の制度化を行っています。

2006年の第5次医療法改正は、政府が進める医療制度改革の一環として行われ、都道府県による医療機関情報の公表制度の導入など情報提供の推進、4疾病5事業の具体的な医療連携体制の位置付け、医師、看護師不足の解消、非営利性の強化など医療法人制度の見直しなどが織り込まれました。

医師法と歯科医師法

新臨床研修制度が導入されました

医療法と共に制定されたのが医師と歯科医それぞれの資格制度、業務、罰則等などを定めた「医師法」と「歯科医師法」です。

病気の治療に必要な薬剤を患者に投与し、手術等で患部にメスを入れることもある医療行為、歯科医療行為は、一定の条件を課された教育を受けて国家試験に合格し、免許を取得した者のみが行える行為です。

医師になるには、大学医学部で6年間の教育を受け、医師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受ける必要があります。医師でないものの医業を禁じ、資格の得失や義務を定めたのが医師法です。

医師は、看護師、保健師、助産師、診療放射線技師など他の医療職種に認められているものも含め、医業として認められるすべての業務が可能です(但し、歯科医業と歯科技工士業を除く)。

この法律は時代の流れに応じて改正が行われており、1968年にはインターンシップ制度を廃止し臨床研修制度を努力義務にしました。その後、2004年から卒後臨床研修が必修化されました。

一方、歯科医師法は、免許を持たない者の歯科医業を禁止し、資格の得失と義務を定めた法律です。歯科医師の免許は、大学歯学部で6年間の教育を受け、国家試験に合格し、歯科医籍に登録したものだけが取得できます。

この法律も幾度かの改正を経て現在に至っており、例えば、1年以上の臨床研修の必修化が2000年に追加され、2006年から実施されています。また、処分を受けたものに対する再教育研修の規定も2007年から施行されています。

保険師、助産師、看護師法

コメディカルの職務

傷病者もしくは妊産婦に対する療養上の世話または診療の補助を行う「看護師」、保健指導に従事する「保健師」、助産または妊産婦もしくは新生児の保健指導を行う「助産師」の3つの職種の資格の定義、免許取得の要件、業務の範囲や義務、違反時の罰則等を定めているのが、「保健師助産師看護師法」です。

看護師を目指す場合、文部大臣または厚生労働大臣の指定した看護大学・短大・専門学校を卒業し、国家試験に合格しなければなりません。また、保健師、助産師の国家試験を受けるには、4年以上看護、助産師、保健師などの教育を受けなければなりません。

病院で最も従業者数の多い職種であり、患者や家族にとって最も身近な存在である看護師の具体的な業務は、医師の指示で患者に注射をしたり、処置や手術の介助、バイタルサイン(脈拍、呼吸、体温、血圧)のチェック、患者の服薬管理、入院患者の病状変化の把握など、治療や療養の効果を高めるために患者のケアを行います。

臨床現場における医師の負担を軽減するため、看護師や保健師の業務拡大を求める声も上がっており、医師の指示があった場合を除き、診療機器を使用したり、医薬品の授与を行ってはならないとするこの法律の改正が検討されています。

薬剤師法
6年生薬学部でどう変わるか

現行の薬剤師法が制定されたのは、医薬品の著しい進歩によって高度な職種としての位置づけが求められるようになった1960年のことで、それまでは、旧薬事法の中で、薬剤師の身分や業務が規制されていました。

薬剤師は「公衆衛生の向上および増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保する(薬剤師法第1条)」ために、調剤、医薬品の供給、そのほかの薬事衛生を行うことが、その任務となっています。

この法律では、医師、歯科医師または獣医師の処方箋をなくして、医薬品を販売または授与する目的で調剤してはいけないと定められています。

薬剤師法も時代のニーズに合わせて改正されており、2004年には、知識と技術の向上を目的に、教育機関が従来の4年から6年に延長されました。

6年生薬学教育の大きな特徴は、医療薬学や医療人としての態度・倫理の充実・高度化に教育目標(モデル・コアカリキュラム)に準拠した学部教育の実施と、病院及び薬局での長期間の実務研修を導入したことです。すなわち、これまでの基礎薬学中心の教育だけでなく、医療薬学に関する広範なカリキュラムが組まれ、さらに課題探求能力や問題解決能力といった深いレベルでの知識教育、医療人としての技能・態度に関する実践的な教育も実施されるようになったのです。

医療人としての資質を伸ばすための教育として重要な役割を果たすのが、4年次に実施される「薬学共用試験」と5年次の「長期実務実習」です。共用試験は、5年次に病院や薬局での実務実習を行う薬学生が一定レベルの知識・技能・態度を備えているかを評価するシステムで、全国の大学で統一基準に基づいて実施されます。

共用試験には、薬剤師としての知識及び問題解決能力を評価する「CBT」、臨床での技能と態度を評価する「OSCE」の2種類があり、この試験に合格した薬学生だけが、病院・薬局の医療現場において、薬剤師の指導・監督の下に実務実習を行うことができる仕組みとなっています。特にOSCEでは、患者・来客者の対応、薬剤の調剤、調剤監査、無菌操作の実践、情報の提供など、病院や薬局での薬剤師業務そのものであり、ここで適正があるかどうかが問われます。

薬剤師の充実は教育だけでなく、男女比も考慮する必要があります。というのも全薬剤師の60%異常が女性で占められているため、入社5年ごろから結婚・出産による休職・退職等の対象者がでてくるためです。実際、全国展開する調剤薬局大手では2012年度になって大量の結婚退職が生じました。6年生以降の端境期(2010〜2011年)は新卒薬剤師がおらず、薬剤師不足が予測されたため、結婚退職を何とか待ってもらっていたのが、2012年度に相次いで辞めたためです。出産・育児でブランクのある薬剤師の職場復帰を支援する再教育や研修などの環境整備が薬局に望まれるところです。

2006年の薬剤師法の改正では、高齢者か社会の流れを受け、在宅医療を受けている患者の自宅など、薬局以外の場所での調剤が認められました。また、薬剤師の免許を持たないものが医薬品の調剤を行った場合の罰則が、医師法違反と同じように、3年以上の懲役、もしくは100万円以下の罰金が処せられるようになりました。